スティックの選び方

ドラムを叩くためには「ドラムスティック」が必要です。ドラムスティックなしでは、「手」でドラムを叩くしかありません。ですが、いわゆる「ドラムセット」はそのような演奏には適していないのです。

ドラムスティックは自分の「腕」の延長だと考えてください。ドラマーである以上、ドラム演奏を行う以上、スティックは身体の一部です。自分の身体のように操れる必要があるわけです。そのドラムスティックの選び方ですが、音楽のタイプによっても変わってきます。結論から言えば、「重いスティック」であればドラムをしっかりと鳴らすことができます。ドラムをしっかりと鳴らすことができるということは、ある程度の音の大きさを確保できるということです。ここでいう「音の大きさ」とは、単純なボリュームのことではありません。「迫力」のことです。

どのような音でもPA機器を通してボリュームを上げれば大きくなります。音を大きくすることができるのです。ただ触れた程度の微かな音でも、現代の音響技術であれば空間を轟かせる轟音にすることが可能なのです。ですが、音の「質」はその微かに触れた程度の「音」以上にはなり得ません。もともと存在する音以上の音質にはならないのです。

ドラムがしっかりと「鳴る」ためには、ある程度のヒット力が必要です。一打ごとに全力で叩いてしまうと、どうしても疲れてしまうものです。長時間の演奏であれば、その疲労が演奏に悪影響になることもあるでしょう。そこはやはり「重力」を利用してしっかりとドラムを鳴らすことができる「技術」が必要なのです。

その技術を助けるものが「スティック」です。ドラムスティックが重くなれば、よりドラムを鳴らしやすくなります。ただ、その分引き上げる際のチカラが必要になります。重いスティックで「叩きにくい」と感じるときには、この「引き上げる動作」に対して自分の筋力が足りなくなっているということなのです。

ドラムスティックを選ぶ際に大切なことは、このスティックの「重さ」が第一優先です。自分の筋力、自分のフォーム、自分の動作に合ったスティックを選ぶことが必要です。逆に、理想のドラム演奏がイメージできているのであれば、その理想に身体を近づけることも必要です。ドラムスティックに合わせて身体を作るということが必要なのです。

また、スティックの先端にも注目してください。その部分は「チップ」といいます。打面に直接触れる部分。それが「チップ」です。楽器屋などでスティックを眺めていくと、そのチップの形状にもさまざまなものがあるということに気がつくことでしょう。例えば丸いチップはどの角度でヘッドにヒットしても同じ音色が出ます。楕円になっているチップは、ヒットする角度によって触れる面積が違うので、角度によって音色を左右することができます。これは実際に使用して試してみるしかありません。自分のフォームではどのようなチップが必要なのか、叩いた感覚で納得するしかないのです。

また、スティックの長さは、そのままドラムのセッティングにも直結します。スティックが届かなければ音を鳴らすことは出来ません。このように、ドラムスティックは、ドラマーにとって身体の一部なのです。