スネアドラムが音色を左右する

ドラムセットの中でも中心に位置するのが「スネア」です。ライブハウスやスタジオなどには、通常ドラムセットが置いてあるものです。ドラムセットはギターなどと比べると非常にかさばるもので、持ち運びには適していません。

それでもこのスネアドラムだけは、ドラマーが自身のものを持ち運ぶということが多いものです。それは一番「自分の音」を表現できるパーツだからです。それを左右するのはスネアドラムのサイズ、つまり口径と深さ、そして材質、さらには打面のヘッド、底面のヘッド、そしてスナッピーと、ギターに勝るとも劣らない繊細さで音色のカスタマイズができるのです。音階を決めるものではありませんが、ドラムにも「チューニング」が存在します。それは打面と底面のヘッドの張り具合を調節することによって実現します。ライブハウスでの演奏など、複数の奏者が同じドラムを使いまわす際にはなかなか全体のチューニングを変えることはできないのですが、このスネアドラムだけは自分のものに交換することで、そのドラマーが自分でこだわって調節した音を再現することができるのです。

スネアドラムはドラムのパーツの中でも、まず最初に購入することをオススメするパーツです。「自分の音」を追求するためには欠かせないドラムであり、リズムの半分以上を構成するものだからです。また、人がドラム演奏を聴いた際の印象のほとんどを左右するものでもあります。ロック系の音楽であればメタルシェル、つまり金属で胴が作られたスネアドラムをオススメします。メーカーも多々あり、種類も豊富ですが、その中でも特に推薦するのが「ラディック」の「LM400」というモデルです。これはスネアドラムの中でも「名器」とされているもので、ドラマーであれば一度は叩きたい、そして自分の音を見つけるためにチューニングしたいものです。

LM400はメタルシェルですが、チューニング、そして残響音を調節する「ミュート」といわれる処理によってどのような音楽にも適合できる万能さを持っています。LM400を自分の思い通りの音で鳴らせることが、まずはドラマーの登竜門といっても過言ではないでしょう。言い換えれば、このLM400一台さえあれば他のスネアは要らないほどです。チューニングとセッティングでどのようにでも化けるからです。

ヘヴィなドラムを目指すのであれば、LM402というLM400よりも胴が深いスネアもオススメです。これらのスネアはドラマーであれば知らない人がいないというほどスタンダードなものであり、プロからアマチュアまで広く使われているものです。丈夫なメタルシェル、そしてチューニングの反応の良さ、セッティングの反応の良さは信頼のおけるものがあります。

このラディックのものに代表されるように、まずはスネアドラムを自分のものにしましょう。それは「所持する」という意味ではなく、自分が納得できる音色で鳴らすことができるようにするということです。これがドラマーの大前提です。ギタリストがチューニングや音色にこだわることと同じで、ドラマーはスネアには最新の注意を払うべきです。そして、その結果は必ず全体の演奏を左右します。ただ叩くだけでいいというわけではなく、「音楽を作る」という感覚でスネアの音色を決めましょう。